木村孝夫さん詩集「十年鍋」

 

東日本大震災原発事故から十年というと

記録だけでなく、記憶のお話になる。

特に「帰宅困難地域」の様子や変化。

自ら求めて覚悟して読んだ。

 

重くない。

詩の言葉にあふれていると思う。

胸の痛むストーリーはいくつも出て来る。

でもこちらの呑気さに突き付けてくるより

優しく教えてもらった感じがした。

 

「蝉が鳴いて夏」

・・・

樹皮に付着した放射能

危機を命の源にする蝉の手足の中に浸潤していったから

その夏は

鳴き終わる前に

落下してひっくり返った

 

他にもいっぱいあるんだけど

洞察力で詩になるって大事なことだなぁ。

今なんとも言えない気持ち。

直に誰かにしゃべりたい。